原田マハ『本日は、お日柄もよく』2021/07/04

『本日は、お日柄もよく』
原田マハ『本日は、お日柄もよく』(徳間文庫、2013年)

いぜん電車の中に広告があったので、少し気になっていた本。スピーチライターの話だと思って読んでみると、選挙演説や選挙運動の話にまで至ったのは意外だった。

全部が全部感情移入できるわけではないが、どのスピーチもよく考えて作られているのだろう。例えば、主人公の親友・千華の結婚式での「鈴木社長」のスピーチは社長と新郎との具体的なやりとりが印象的に使われているし、同じ結婚式での主人公のスピーチは反復が効果的に使われている。

オバマ大統領のスピーチのことも本書で触れていて、「スピーチは、ときとして世界を変えることもある」(365ページ)という伝説のスピーチライター・久遠久美(くおん・くみ)の言葉が印象に残る。言葉が全てを解決できるわけではないのだが、言葉が世界を変えられる場面もあるのだ。

自分も人前で話すことがあり、「話し方」を意識せざるをえない。ただ、何を話すか、どう話すかも大事だが、その背景にある「何を伝えたいか」「何が大切だと考えているのか」も大切だ。

本書でも単にスピーチのことを語るのではなく、スピーチする人間がどんな人か、どんなに悩んでいるかを述べているところに好感が持てた。