デフレの正体2011/01/26

デフレの正体
藻谷浩介『デフレの正体―経済は「人口の波」で動く』(角川oneテーマ21、2010年)

テレビで紹介されていたので購入。日銀がどんなに金融緩和策をとってもなかなか景気が良くならないわが国だが、どうしてそうなのかを分かりやすく説明する本。著者の結論は、生産年齢人口(消費人口)が毎年毎年減っており、この「人口の波」が「景気の波」を押しつぶすから、である。

著者は国内経済分析の際にGDPを見るのではなく、国内小売販売額や国内自動車販売額などの内需そのものを示す数字に着目する。「失われた10年」とはよく言われるが、バブル崩壊後の1990年代も国内小売販売額は伸びていた(86-88ページ)。1998年から2003年は確かに全国的な不況となったが2003年から2006年は輸出景気となった。著者は「都市と地方の格差」の議論に対して、地域間格差よりも、それぞれの時期に特有の原因の方が各地の経済に影響を与えていると論じている(第4講)。

高齢者の激増と生産年齢の急速な減少は、中国など他のアジア諸国でもいずれ経験せざるをえないこと。著者は、わが国が他国に先だって処方箋を用意することで世界に貢献できると述べている。たとえば高齢者や高所得者の気持ちをうまくつかむ商品・高級品の開発、世界の裕福な人の購買意欲を刺激する高級なまちづくり、裕福な高齢者から若年層への所得の移転、女性の雇用促進と経営参加など。

大変興味深い本で、読んで良かったと思う。

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