『通産省と日本の奇跡』 ― 2010/02/16
チャーマーズ・ジョンソン著、矢野俊比古訳『通産省と日本の奇跡』(TBSブリタニカ、1982年)
大学院のとき、行政学の「産業政策」の講座で本書が取りあげられた。再び読んでみて、大変すぐれた著作であることを再認識した。
「今は昔」となるが、かつての高度経済成長の頃、通産省は産業政策を進め、産業構造の改編や重化学工業化をおし進めた。成長すべき産業を「戦略産業」と位置づけて、政府系資金の融通や税制上の優遇、海外技術の導入の援助などを進めてきたのである。新しい産業や経済活動にシフトすべきなのに、事業家たちは必ずしもそうは行動しない。そこで通産省が「戦略産業」にエネルギーと資源を大幅にシフトさせようとするわけである(34ページ)。本書では通産省の産業政策がその時代に突然現れたものではなく、戦時中や戦前などの前史があることや、産業政策を進めた名物官僚のことをえがいている。
今の経済産業省につながる問題点をとりあげている部分もあり興味深い。例えば、経済官庁であるにもかかわらず、専門的な経済学者が幹部にいない点が指摘されている。これは分野は違えど、日本銀行の総裁に経済学の博士号をもった人が就任していないことと似ている。そして、通産省が特定の企業とのつながりが深く、いわゆる天下りが長年続いてきたことも述べられている。また官僚どうしのなわばり争いや政治家と官僚との綱引きなども本書に書かれているが、これも昔と今と変わらない。また、通産省内での官僚の序列(86ページ)も経済産業省でも基本的には変わっていないようである。
大学院のとき、行政学の「産業政策」の講座で本書が取りあげられた。再び読んでみて、大変すぐれた著作であることを再認識した。
「今は昔」となるが、かつての高度経済成長の頃、通産省は産業政策を進め、産業構造の改編や重化学工業化をおし進めた。成長すべき産業を「戦略産業」と位置づけて、政府系資金の融通や税制上の優遇、海外技術の導入の援助などを進めてきたのである。新しい産業や経済活動にシフトすべきなのに、事業家たちは必ずしもそうは行動しない。そこで通産省が「戦略産業」にエネルギーと資源を大幅にシフトさせようとするわけである(34ページ)。本書では通産省の産業政策がその時代に突然現れたものではなく、戦時中や戦前などの前史があることや、産業政策を進めた名物官僚のことをえがいている。
今の経済産業省につながる問題点をとりあげている部分もあり興味深い。例えば、経済官庁であるにもかかわらず、専門的な経済学者が幹部にいない点が指摘されている。これは分野は違えど、日本銀行の総裁に経済学の博士号をもった人が就任していないことと似ている。そして、通産省が特定の企業とのつながりが深く、いわゆる天下りが長年続いてきたことも述べられている。また官僚どうしのなわばり争いや政治家と官僚との綱引きなども本書に書かれているが、これも昔と今と変わらない。また、通産省内での官僚の序列(86ページ)も経済産業省でも基本的には変わっていないようである。
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