森見登美彦『四畳半神話大系』2010/04/10

四畳半神話大系
森見登美彦『四畳半神話大系』(角川文庫、2008年)

大学など上の学校に進学した時に、サークルやクラブといった課外活動で何をするか、これは誰しも考えどころだ。私の場合も複数あるサークル活動から何を選ぶか、迷った。学生観光連盟という学生観光ガイドのサークルと、合唱団、体育会グライダー部の3つである。

本書の主人公は4つの選択肢から1つを選ぶのだが、私は最初からひとつを選びとる気はなく、先の3つをかけ持ちすることとした。本書では主人公が4つの選択肢それぞれを選んでどうなったか4話に分けて書いているが、いずれのみちを選んでいても、「小津」という悪友に生活をかきまわされ、下宿の上の階の「師匠」や歯科衛生士の「羽貫さん」、聡明な「明石さん」といった面々が登場する。方程式の解を場合分けして書くようにAの場合、Bの場合、Cの場合と分けて話を書いているのだが、場合分けしても解が似たものになるという不思議な世界である。

私の場合を振り返ってみれば、3つあった選択肢を1回生の夏に1つにしぼるにあたり、別のみちを選んでいたら、また別の人物に出会い別の人生になったのだろうなと思う。3つの中から合唱団を選んで、その役職につくこととなり、様々な経験をするが、そこで得た「濃い」経験は他の世界では得られなかっただろうと思う。他の選択肢を選んでも、多分強烈な人間や奇人変人に出会ったとは思うが、かつて私が歩んだ生活とは全く違う「キャンパスライフ」があっただろう。

本書では「最終話」ですべてが明かされる。筒井康隆の本にもあるが、「多元世界」みたいな設定である。自分が生きている世界の隣には、自分の生きている世界とは少しだけ違う世界があって、その隣にも少しだけ違う世界があって…という設定である。佐藤哲也氏による解説も秀逸だと思った。

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://rebecca.asablo.jp/blog/2010/04/10/5008762/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。