夏石鈴子『夏の力道山』2010/06/27

夏石鈴子『夏の力道山』
夏石鈴子『夏の力道山』(筑摩書房、2006年)

インターネットの書評で知った著者の本。インターネットの書評ではこの著者の他の本がお薦めだったのだが、図書館では他の人が借りていて在庫がなかったので本書ほか数冊を借りる。

タイトルの「力道山」はかつてのプロレス選手のことだが、本書はプロレス小説ではない。働く主婦・長谷川豊子の仕事と家庭の話である。豊子が着替えているところを、稼ぎの悪いだんな・明彦がたまたま見た際「力道山みたいだね」と言った(37ページ)のがタイトルになったという訳。

印象に残ったのは、豊子が社長をつとめる小さな事務所で一緒に働く緑という女性のことば。「仕事はね、芸だから。どんな仕事も、そうだから。」「無駄なく正しく仕事を終わらすことは、当たり前。」「いつも、どうしたら一番いいかなって考えるようにするの。」「それから、雇ってくれた人に、損したなって思わせないことも芸だし。」

なるほどね、自分を中心において仕事を考えるのではなく、どうやって能率よく、成果を出せるようにするかを考えたり、雇い主の立場からみたらどうだろうって考えたりするのも大切か、と自覚させられた。