『日本経済の勝ち方 太陽エネルギー革命』 ― 2009/06/09
村沢義久『日本経済の勝ち方 太陽エネルギー革命』(文春新書、2009年)
つい先日、6月4日には倉敷市にある三菱自動車工業水島製作所で電気自動車i-MiEV(アイ・ミーブ)の量産が始まった。確かに、6月1日にはアメリカの自動車最大手GM(ゼネラル・モーターズ)が破綻するなど自動車産業をめぐる状況は大変厳しいが、新たな時代を切り拓く商品として、この電気自動車には大いに期待したい。
世界同時不況の中から日本経済が脱出するには、i-MiEVのような電気自動車とソーラー発電だと処方箋を描くのが本書。炭素を含む燃料を燃やす文明から、炭素を使わずしてエネルギーを得て、それを使う時代になると見通している。
本書で著者は三菱自動車のi-MiEVを大きく評価している(第9章電気自動車のとてつもない可能性)。第1に、i-MiEVの東京・大阪間の燃料費はわずか500円(深夜電力で充電した場合)で、同じ種類のガソリン軽自動車(アイ)だと燃料費が2600円(1リットルあたり100円の場合)だから、電気自動車なら燃料費がガソリン車の約5分の1になる(138-140ページ)。第2に、油田で原油を掘り出すところから自動車のタイヤにエネルギーが伝達されるまで(Well-to-Wheel)のエネルギー効率でみた場合、つまり、石油精製や発電などトータルな効率を比較した場合でも、i-MiEVはガソリン車アイの3倍の効率であり、i-MiEVの電池に蓄えた電気が火力発電による場合でも総合的なエネルギー使用料がガソリン車の3分の1に減らすことができる(142-143ページ)。そして、第3に、加速性能を左右するトルク(回転力)で比較すると、最大トルクがi-MiEVはガソリン車アイの3倍の性能を持つ。特にスピードが高くない、電動モーターが低回転のときに最高のトルクを出すため、変速機(トランス・ミッション)が不要であり、発進から高速まで非常になめらかに力強い加速をすることができる(140-141ページ)。
航続距離と充電時間、高コストの面に課題が残っているのではあるが、いちいち充電するかわりにバッテリーごと交換する「バッテリー・スワップ」が可能になれば高コスト、充電時間の問題が解決できる(146-148)。そうなるとバッテリーの標準化が必要であり、標準化に向けた政治・行政の取り組みも必要となろう。
一方、太陽光発電であるが、著者によれば発電効率がかつてに比較して大変向上しているとのことである。1970年代半ばのオイルショックの当時は太陽光発電の効率はわずか3%から4%くらいだったのに対して、現在では実用レベルでも15%から20%の太陽光発電が可能になっている(126-127ページ)。このような太陽光発電パネルを耕作放棄地に設置すれば、耕作放棄地対策にもなりエネルギー需要もまかなえ、エネルギー自給率の向上にもつながる、ということである。特に著者は、耕作放棄地でバイオ燃料のもととなる作物を育ててバイオ燃料をつくるよりも、太陽光発電をはかる方が約60倍の高い効率でエネルギーを得られるようになると指摘している(189-190ページ)。
科学技術にそれほど詳しくない私には、著者の主張がどこまで妥当なのか分からないが、少なくとも、新しい時代にふさわしい環境性能をもつ科学技術として電気自動車と太陽光発電は高く位置づけるべきものだと理解した。
つい先日、6月4日には倉敷市にある三菱自動車工業水島製作所で電気自動車i-MiEV(アイ・ミーブ)の量産が始まった。確かに、6月1日にはアメリカの自動車最大手GM(ゼネラル・モーターズ)が破綻するなど自動車産業をめぐる状況は大変厳しいが、新たな時代を切り拓く商品として、この電気自動車には大いに期待したい。
世界同時不況の中から日本経済が脱出するには、i-MiEVのような電気自動車とソーラー発電だと処方箋を描くのが本書。炭素を含む燃料を燃やす文明から、炭素を使わずしてエネルギーを得て、それを使う時代になると見通している。
本書で著者は三菱自動車のi-MiEVを大きく評価している(第9章電気自動車のとてつもない可能性)。第1に、i-MiEVの東京・大阪間の燃料費はわずか500円(深夜電力で充電した場合)で、同じ種類のガソリン軽自動車(アイ)だと燃料費が2600円(1リットルあたり100円の場合)だから、電気自動車なら燃料費がガソリン車の約5分の1になる(138-140ページ)。第2に、油田で原油を掘り出すところから自動車のタイヤにエネルギーが伝達されるまで(Well-to-Wheel)のエネルギー効率でみた場合、つまり、石油精製や発電などトータルな効率を比較した場合でも、i-MiEVはガソリン車アイの3倍の効率であり、i-MiEVの電池に蓄えた電気が火力発電による場合でも総合的なエネルギー使用料がガソリン車の3分の1に減らすことができる(142-143ページ)。そして、第3に、加速性能を左右するトルク(回転力)で比較すると、最大トルクがi-MiEVはガソリン車アイの3倍の性能を持つ。特にスピードが高くない、電動モーターが低回転のときに最高のトルクを出すため、変速機(トランス・ミッション)が不要であり、発進から高速まで非常になめらかに力強い加速をすることができる(140-141ページ)。
航続距離と充電時間、高コストの面に課題が残っているのではあるが、いちいち充電するかわりにバッテリーごと交換する「バッテリー・スワップ」が可能になれば高コスト、充電時間の問題が解決できる(146-148)。そうなるとバッテリーの標準化が必要であり、標準化に向けた政治・行政の取り組みも必要となろう。
一方、太陽光発電であるが、著者によれば発電効率がかつてに比較して大変向上しているとのことである。1970年代半ばのオイルショックの当時は太陽光発電の効率はわずか3%から4%くらいだったのに対して、現在では実用レベルでも15%から20%の太陽光発電が可能になっている(126-127ページ)。このような太陽光発電パネルを耕作放棄地に設置すれば、耕作放棄地対策にもなりエネルギー需要もまかなえ、エネルギー自給率の向上にもつながる、ということである。特に著者は、耕作放棄地でバイオ燃料のもととなる作物を育ててバイオ燃料をつくるよりも、太陽光発電をはかる方が約60倍の高い効率でエネルギーを得られるようになると指摘している(189-190ページ)。
科学技術にそれほど詳しくない私には、著者の主張がどこまで妥当なのか分からないが、少なくとも、新しい時代にふさわしい環境性能をもつ科学技術として電気自動車と太陽光発電は高く位置づけるべきものだと理解した。
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